じんましんについて
じんましんは突発性の皮膚症状で、強いかゆみと共に赤い蕁麻疹(紅斑)や膨疹が出現し、通常24時間以内に消失します。これは体のどの部分にも現れる可能性があり、重症化すると目の周囲や唇の腫れ(血管性浮腫)、消化管の腫れが原因で下痢を引き起こすことや、喉頭浮腫が原因で呼吸困難を引き起こすこともあります。
原因としては感染症、全身性疾患、物理的刺激(擦過、寒冷、日光、温熱など)、食物、運動による発汗(コリン性じんましん)、精神的ストレス、薬剤などがありますが、実際にはじんましんの約70%は原因が特定されません。このため、原因が明確でない場合の診断や治療は特に困難を極めます。
アレルギー検査は、原因が何らかの程度特定されている場合や遺伝性血管性浮腫や全身性疾患が疑われる場合に有用です。しかし、多くのじんましんのケースでは原因が明らかでないため、検査が不要とされることも多いです。治療には抗ヒスタミン薬の使用が一般的であり、症状の管理と快適な生活のために役立てられます。
治療方法
じんましんの治療には、主に以下の方法が採用されます
- 抗ヒスタミン薬の内服
これはじんましんの症状を軽減するための最も一般的な治療法です。抗ヒスタミン薬は、かゆみや腫れなどのアレルギー反応を抑制することで、患者の快適性を向上させます。 - 原因の究明と除去
じんましんの引き金となるアレルゲンや刺激因子を特定し、可能な限りそれらを避けることが重要です。これには、食物、薬物、物理的刺激などが含まれることがあります。 - エピペンの自己注射の指導
アナフィラキシーの既往がある患者には、緊急時に迅速に対応できるよう、エピネフリン自己注射器(エピペン)の使用方法を教えます。これにより、重大なアナフィラキシー反応が発生した際に、命を救う対応が可能になります。 - ゾレア皮下注射(オマリズマブ)
2017年4月から、特発性慢性じんましんに対して保険適用されているこの治療法は、肥満細胞の活性化を阻害し、ヒスタミンを含む炎症性メディエーターの放出を抑制します。ゾレアは月に1回の皮下注射で行われ、特に他の治療方法で効果が得られない患者に推奨されます。
これらの治療法を組み合わせることで、じんましんの管理と症状の軽減を図ることができます。各患者の状態に応じて、最適な治療計画を立てることが重要です。
ゾレア(オマリズマブ)皮下注射の適用条件と詳細
ゾレア皮下注射は特定の条件を満たす患者に推奨される治療法です。以下の条件に該当する方がゾレアの使用が適応されます
- 治療履歴
これまでのじんましん治療で効果が不十分だった場合。 - 症状の原因
原因不明のじんましんである場合。 - 年齢制限
12歳以上の方。 - アレルギー歴
ゾレアに対して過敏症の既往がない方。
備考
- 健康保険の適用
ゾレア治療は健康保険が適用されますが、患者の負担は1回の治療につき約17,488円(3割負担)となります。 - 専門医による診察
治療は皮膚科専門医またはアレルギー専門医の診察と管理の下で行われます。診察代が別途必要です。 - 安全対策
アレルギー反応のリスクを考慮し、初回の注射後は少なくとも30分間は医療機関内での待機が必要です。